世界拾遺記

映画ドラマ漫画の感想、博物館訪問記、だいたい同じことを言っている

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

アニメ『進撃の巨人』感想③:血統で定義される「民族」エルディア人

他人にアイデンティティの決定権を握られる理不尽 マーレ編でのエルディア人隔離政策には、その人権侵害っぷりにばかり目が行っていて前述した「居心地の悪さ」にばかり気を取られていたが、もう一つの「違和感」をようやく認識した。 across2logos.hatenabl…

アニメ『進撃の巨人』The Final Season 66話感想:ガビを煙たがるな

日本での視聴者の大多数は「マーレ人」 マーレ編でのパラディ島勢力による奇襲は『進撃』冒頭の超大型と鎧による壁内人類への攻撃の立場を入れ替えた再現であることは一目瞭然だ。視聴者は、それまでの壁内での死闘を見てきたのもあり、エレンたちの視点から…

アニメ『進撃の巨人』感想②:歪んだ歴史認識

この作品のテーマ:歴史は事実ではなく「物語」 正義と悪のせめぎあいでも正義の暴走を描いたわけでもなく、歴史認識がかみ合わず対立しあい、悲劇を生んでいるのが進撃だと思っている。この作品では要所要所で歴史と歴史認識がキャラクターやストーリーを動…

アニメ『進撃の巨人』感想①:マーレ編全体を覆う「居心地の悪さ」

ネカフェや岩盤浴場でちょこちょこ読み進めてきた『進撃の巨人』のあにめファイナルシーズンの放送が始まった。昨シーズンで巨人を駆逐し、エレンら壁内人類の「敵」は、巨人から自分たち以外の世界となったところからファイナルシーズンは始まる。 原作漫画…

『ウィンクス・サーガ〈宿命〉』S1感想:魔法の強さが「強さ」じゃないファンタジー

Netflixドラマ『ウィンクス・サーガ』シーズン1 あらすじと感想

性差の日本史訪問記:「日本史」の日陰から

女性史が「企画」される意味を考える 『ジェンダー〈性差〉の日本史』と銘打たれ、「女性史」ではなくあくまでも「男女の」性役割の歴史の企画展となっているが、その内容のほとんどは埋もれていた女性リーダーや女性家長、社会における女性の待遇と差別に言…

ウポポイ訪問記:本土の和人、ウポポイへ行く

本土の和人、ウポポイを目指す 9月末に日本で7番目の国立博物館である国立アイヌ民族博物館と併設した「民族共生象徴空間」ウポポイへ行ってきた。現在、博物館はコロナ対策の入場規制が実施されている。しかし、完全事前予約制となっていることを知らず直前…

『もののけ姫』感想:「日本」から周縁化された人々の物語

タタリ神は私だ 「もののけ姫」を初めて見たのは小学生の時分だった。祟り神のおどろおどろしさは言うまでもなくゾッとしたし、エボシを「悪」として、年齢が近かったのもありサンやアシタカの肩を持ち感情移入していた。 しかし、ほぼ24歳になる2留目をぶち…

『アメリカン・アニマルズ』感想:楽な生き方の代償

あらすじ 刺激を欲していた大学生、ウォーレンとスペンサーは1200万ドルになるという図書館の貴重な蔵書を盗むことを思いつく。チャズとエリックを計画に引き入れ犯行に及んだ実際の強盗事件を本人たちの出演と回想により紐解いていく。 実話の「物語」 この…

『ブリジャートン家』感想②:「現代のジェイン・オースティン」が描く近世ロンドン社交界ー1ー

『ブリジャートン家』は、19世紀前半のイギリス社交界を舞台にした物語だが、その展開はフェミニズムによって支えられている。原作小説の著者が「現代のジェイン・オースティン」と称されており、人種的多様性はドラマのプロデューサーによるが、フェミニズ…

『ブリジャートン家』感想①:似て非なる超進化版ゴシップガール

Netflixオリジナルの新たなヒット作 2020年12月25日に公開されたNetflixオリジナルドラマ『ブリジャートン家』。公開以来4週間で6300万世帯が視聴したNetflixの新たなヒット作だ。 見始めたら止まらなくなり一気見してしまった。 あらすじとみどころ まず簡…